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クリムゾンダーク 第1巻





クリムゾンダーク

第1巻



著者

ゴールドを集める者




タイラ・ブラッド・ファイアにはどんな仲間でもいいというわけではなかった。


山賊たちが大家を建てることはなかった。彼らは構造も組織も、遺産も持っていなかった。戦場での戦略も持たず、未来の展望も持っていなかった。何より許せなかったのは、忠誠心も持たず、私腹を肥やすことしか頭になかったことだ。山賊は残飯を求めて争う野犬の群れにすぎず、餌を与えようとする手に噛みつくことも厭わなかった。


バルモラで育ったタイラには、モロウウィンドの大家が血の上に成り立っていることがわかっていた。だがエルフに囲まれたノルドの孤児だったタイラの家族の概念は、経験から築き上げられていた。タイラが最も共感を抱いたのは山賊や殺し屋でなく、一匹狼や追放者たちだった。だからクリムゾンダークのメンバーを選ぶ際、タイラは自身の本質と同じ資質の持ち主を求めた。


タイラが求めていたのは生存者たちだった。


彼らを探すには、まず人脈が必要だった。そのために、「強奪者」というダークエルフの助けを求めた。


そのダンマーには本名がなかった。肩書きや権利を捨て去り新たな肩書を得た元貴族だという説もあった。出生名がそれほど必要ない暗殺者集団、モラグ・トングの一味だという説もあった。タイラがその悪党に初めて出会ったのは、まだ物乞いだった子供の頃だった。そのダークエルフは血のように赤い目で、この灰まみれで飢えた孤児の少女を見下ろすと、物乞いの鉢に施しを与えた。


少女が鉢に目をやると、そこには食料でもゴールドでもなく、ナイフがあった。


「これは贈り物じゃないぞ、小娘」。喉に灰の傷を持つダンマーが戒める。「最初の成果を持って来い」


その夜、若きタイラは約束を果たし、アシュランダーの手に一粒のルビーを届けた。そのルビーは炎や血のように深紅の輝きを放っており、タイラはその日以来、強奪者がその名を得たように、タイラ・ブラッド・ファイアという名で知られるようになった。ダンマーは長きにわたってノルドを見つめ、彼女がスリから山賊へ成長する姿を見守り続けた。タイラはダンマーへの借りを返し終わったと考えていたが、顔を合わせる度にダンマーは分け前を要求し続けた。


8年後、2人は物理的な距離だけではなく、精神的にも別々の道を歩むこととなった。タイラは頑強な戦士へと成長し、その体格は彫刻のように荒々しく、血と灰の坩堝となっていた。 一方、怠け続けて太り切った強奪者は、手下たちの成果をくすねることに甘んじ、静かな休息の日々を過ごしていた。


タイラが訪れると、強奪者は手のひらでルビーを弄りながら、その脂ぎった唇の唾を時折腕で拭った。その宝石にはもちろん見覚えがあったが、ダークエルフはかつて知っていた凶悪な殺人者とは似ても似つかなかった。

シロディールが強奪者を変えてしまったのかもしれなかった。ネッチの皮を高級絹に、短剣を銀のスプーンに、アッシュランドの洞窟をスキングラード中心部の豪邸へと変えてしまったのだ。そのしかめっ面は怒りによるものではなく、主にワックスをかけたばかりの床を泥で汚す客に対する苛立ちによるものだった。緋色の鋭い目だけが、かつての彼を物語っていた。


「シロディールには来たばかりなの」。分け前として机にゴールドの袋を置くと、タイラが言った。「仲間が必要よ」


手を伸ばすことすら面倒そうに、ダンマーが召使にゴールドを手渡させる。そして手短に袋の重さを確かめると、召使とゴールドを脇に追い払った。袋にケーキでも詰めた方がましな対応をしてもらえたのだろうか。


「探すのを手伝ってやろう」。指で机をたたきながら、ダンマーがしわがれ声で言う。「だが忘れるなよ、小娘。お前の最初の成果を持って来い」


タイラの条件に合う人物は3人いた。エスラエルはハイエルフの狩人で、孤児院で育った。ペラディウスは元衛兵で、スリを殴り殺したことで解雇された。アントニウスははぐれ魔術師で、ギルドよりも酒場にいることが多かった。


メンバーが揃うまで、他にもまだ欲しい人材がいた。武器を作ってくれる鍛冶屋と、その武器を振りかざす戦士だ。影で獲物に忍び寄る盗賊や、その喉を掻っ切る暗殺者たちも必要だった。情報を収集する斥候や、暗号を解読する鋭い頭脳も。タムリエル中を旅してでも見つけ出すつもりだった。


この初仕事は、3人で十分すぎるほどだった。1人でも十分だった。すでに建物の下見も終わっており、客として招かれていたのだから。召使の少女が隣の部屋にゴールドを置いたのも見たし、家中に金目の物が山ほど散らばっているのも見た。太ったホーカーのような主人の腕が鈍り切ったのも見ていた。彼らの最初の獲物は、強奪者とその富だった。


1週間後、3人は血の契りを結んだ。訓練された戦士であるエスラエルとペラディウスが、衛兵をあっさり始末した。アントニウスが召使たちに魔法をかけ、3人で荷馬車に戦利品を詰め込んだ。


だがそこで、タイラは最初に見つけた。かつては恐ろしかった強奪者が、寝室で自身の強欲が招いた結果に対して無力に横たわっていた。


カンテラの光の影の中で、ノルドは男に両手を伸ばして近づいた。片手には先週男に手渡したゴールドの袋が、もう片方の手にはかつて男がノルドの鉢に置いたナイフが握られていた。


「これを持って行ってくれ」。横のナイトテーブルにルビーを置いて、強奪者が言った。だがタイラは一言も発さなかった。


「昔は強奪者じゃなかった」。ダークエルフが続ける。「名前があった。キャシヴァルと呼ばれてた。全くの偶然だが、二姉妹の小屋の外に、同じ名前で物乞いをしているダンマーの少年がいた」


その言葉を聞き、強奪者と最後にもう一度目を合わせたタイラが、かつて男がそうしたように男を見下ろした。その時、別の約束が取り付けられたのかもしれなかった。お互いがわかっていながら、口に出されることのない約束が。


次の瞬間、タイラは男の心臓にナイフを突き立てた。


タイラはベッドのシーツで短剣の血を拭うと、ナイトテーブルのルビーを拾った。3人はその後、何もかもを根こそぎ奪った。だがゴールドの袋には手を付けず、元の持ち主の死体の横に置き去りにした。


最初の成果は彼の物だ。だが、残りの物はタイラのものだ。



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