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セリーナへの手紙4
最愛なるセリーナ、
これが僕からの最後の手紙だ。この手紙の一部すら君に届くか分からないが、万一僕が発見された時のために、常に身に着けておくつもりだ。セリーナ、こちらである出来事があったのだ。身の毛もよだつような事だ。レッドマウンテンに何かが起こったのだが、上手く言葉にできない。山頂でオブリビオンの門が一度に何百も開いたかのようになり、そこからあらゆる方向に炎と死が吐き出された。フロストモス砦は完全に破壊されてしまった。防壁はゆるい泥のように砕け、陸地は火の海だ。周囲にあるすべてのものから、灰と死の匂いが漂っている。どこかに誰かいるだろうか。僕は砦の下層の一区画に閉じ込められていて、近いうちに救出される見込みはない。セリーナ、君に会いたい。この腕で君と子供たちを抱き締めて、何もかも良くなると言いたい。だがそんな時は永遠に来ないだろう。シリカスとアティアによろしく。父さんは帝国を守るために勇敢な最後を遂げたと伝えてくれ。いつか彼らが僕の話をする時に、堂々としていられるように。そして愛しい人よ、君は夜目を閉じる時に僕の事を思い出してくれ。僕の魂が最後に我が家に帰り着けるように。
常に、そして永遠に君のものなる
マクシミアン・アキシウス
第四紀5年 薄明の月3日
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